つくりびとの
つくりかた

 
旭川の広告クリエイターたちは、これまでどのような人生を送り、
どのようにして広告人になっていったのか。
その人生をひもとき、また、広告づくりにあたっての「ものづくりの考え方の根っこ」を探ることで、その人ならではの「味」を見出し、形にしようという会員紹介インタビュー企画です。
様々な環境から養分を吸って蓄え成果物を作る人たちの根っこにはどんな「根才」がなっているのか、
そしてそれをおいしく料理する方法(仕事の作法)とは?
メニュー名

函館珍言才炒め

 
 
竹田貴治
グラフィックデザイナー
(北海道地図株式会社) 

原材料の紹介

①まずは函館産自営業の実家と美術の担任を用意します。

 

 
 

歴史と文化が薫る函館生まれの函館育ち。実家は親が多忙な自営業、3人兄弟の真ん中でマイペースに育った。幼少時、祖父が大切にしていた屏風に落書き(本人曰く「加筆」)をしたところ、まさかのことに人前でほめられたというほど天賦の才にあふれていたらしい。
 
小・中学時代に美術の先生が担任になった際にはまたも絵を評価され、徐々に自信が芽生えていったのだろう。私服姿で高校に通う頃には美大を目指すまでに希望が育っていった。
 
しかし転機は早くもやってくる。芸術を志す者にとっての最初の関門、大学受験だ。美大への道が閉ざされた時、「少しでも美術と触れ合っていたい」と竹田少年が選んだのは教育大学の芸術課程であった。
 
そうして愛する函館を離れ、ものづくりの基礎を学ぶ中で出合ったのが、グラフィックデザインである。○と△と□だけでデザインをする授業はワクワクしたという。
 
「これで食べていける人がいるなんて!」
 
時はバブルが崩壊した後の就職難の時代、とはいえ、公務員になるなんてつまらない。商売人の家に育った自由な心が、ロマンを求める函館人気質(ただし歴史好き限定)がうずくその視線の先に、デザイナー募集の文字が躍る。北海道地図株式会社の求人情報であった。
 
 
 
レシピの紹介

②地図制作の基礎を少々加え、コンピュータを煮詰めて外に出します。

 

 
 

幕臣が新天地・箱館を目指したように、フロンティア精神で北へと向かった竹田青年。地図のイロハを研修で学び、最初の頃はカラス口を使って版下作業を行っていたという。
 
しかし、入社1年を過ぎる頃、嵐がやってきた。コンピュータによるデザイン革命だ。必死で操作を覚えたが、さすがに若いので順応性も早く作業に慣れた20代後半、会社での仕事以外に作品を自主制作し始めると、今度は外の世界が気になってきた。
 
「みんなどうやって勉強してるんだろう?」
 
aadcや札幌ADCに顔を出し、多様なクリエイターとの交流を重ね、積極的に作品を作ってはコンペに応募した。しかしなかなか結果を出せないまま、元気だった青年も気が付けば30代半ば。頭を過る「中年」の文字。「これでダメなら自分には才能がないのだと諦めよう」と出品した札幌ADCコンペティション2008で、ひとつの作品が審査員チョイス賞に輝いた。「紙地図を再利用した封筒」である。
 
「人生は長くないから、あれもこれもはできない。自分は器用ではないし1つのものに集中して作り続ける方が良い」。そんな思いで地図にこだわり続けたからこそ得られた、何より嬉しい結果だった。
 
 
 
トッピングの紹介

③旭川ラーメン、ボードゲームをお好きなだけ乗せましょう。

 

 
 
趣味は食べ歩きとボードゲーム。「旭川ラーメンバーズ」と「旭川ボードゲームクラブ」の代表を務め、課外活動に余念がない。
 
「ラーメンバーズでまちづくりを学んできました。元ミス旭川が旭川ラーメンのチアダンスチームをつくりたいという発想から、イメージソングがあったら面白いと思い、知り合いの作曲家といろんな人を結びつけていたら、話がどんどんすすんで。自分から行動を起こしていくことが大事なんだな、と改めて感じています。」
 
人生後半のライフワークとして決めていることがある。それは子どもの頃から好きだった「ボードゲーム」をオリジナルで作ることだ。色々なデザイナーとの付き合いの中でイメージがふくらみ、地図づくりの経験がそれを後押しする。
 
「複雑な地図をシンプルな造形にするペーパークラフトや、ジオパークでの子ども相手のワークショップなど、これまでの仕事はすべてボードゲーム作りを考える上で大事な基礎となっています。今まで学んできたことがすべて活かせる、それがボードゲームなんです。」
 
歴史を愛し、まちづくりを知り、地図をクリエイトするアクティブ中年が、子どもの頃から夢見たボードゲームを完成させる日は、そう遠くはないかもしれない。
 
 
text by 中村眞人
 


 

ABOUT aadc

 aadcとは、旭川広告デザイン協議会の略称です。旭川を中心に活躍するクリエイターたちが集い、業界をより盛り上げようと作った団体です。年に一度開催しているaadc展を中心に市からの委託事業や、会報の発行など広告デザインの啓蒙に関わる各種事業を行っています。
 

 
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